1. 入力/出力の問題

症状 分析、予想される解決法
再生したら、トラックの音量メーターは反応しているのに、トラックから音が聞こえません。
恐らくは、お使いのREAPERのルーティング設定か、サウンドカードの設定、オーディオハードウェアのセットアップに問題が発生しています。

REAPERのルーティング:

  • トラックが、マスタートラックへの出力を持つよう設定されているか確認してください。
  • マスタートラックの出力が、お使いのスピーカーやヘッドホンが接続されているサウンドカードの出力に設定されているか確認してください。

サウンドカードの設定:

  • 以下のいずれの状態にもなっていないことを、サウンドカードの制御ソフトで確認してください。
    • 出力がミュートされている、または音量が極端に絞られている
    • 出力が別のハードウェア出力に接続されている

オーディオハードウェアのセットアップ:

  • マスター出力と同じサウンドカード出力にアンプが接続されているか確認してください。
  • 全てにおいて、電源供給が正しくされているか、スイッチが入っているか、適切なボリュームレベルになっているか確認してください。
  • Windowsデバイスマネージャー(コントロールパネル→「システム」→「デバイスマネージャー」→「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」)を使って、デバイスが有効になっているか、正しく機能しているかを確認してください。

ヒント:

  • 他の音声プリケーションを起動して何らかのwaveファイルを再生してみると、音声の問題がREAPER内部の問題なのか、それともサウンドカードやオーディオ設定の問題なのかを切り分けることができます。
MIDIデバイスが開けないというエラーがエフェクトに発生します。
デバイスが接続されていないか、他のプログラムによって使用されています。
  • デバイスが接続されていて電源も供給されていることを確認してください。
  • 他のプログラムがMIDIデバイスを使用中でないか確認してください。
  • REAPERを重複して起動してしまっていないことを確認してください。
再生したら、トラックから音が聞こえず、トラックの音量メーターも反応しません。
この問題は該当のトラックやアイテムと強く関係していることが多く、「他のプロジェクトは正常に再生できるのに」という場合は特に当てはまります。
  • トラックがミュートされていないか確認してください。
  • アイテムがミュートされていないか確認してください(アイテムを右クリック→「アイテムプロパティ (P)…」)。
  • トラックのエフェクトウインドウで、トラックを無音にするようなエフェクトがないことを確認してください。
  • トラックの音量フェーダーが極端に絞られていないことを確認してください。
再生したら、あるトラックの一部または全てのエフェクトが効きません。
恐らくは、該当のトラックのエフェクトウインドウやプラグイン自体のウインドウ、またはその両方で問題が発生しています。
  • トラックのエフェクトウインドウがバイパスモードに設定されていないことを確認してください。
  • 各エフェクトがバイパスモードに設定されていないことを確認してください。
  • REAPERのエフェクトチェーンウインドウの機能や、プラグイン自身のウインドウ内の機能によってバイパスが引き起こされていることがあります。
  • プラグインのWet/Dryミックス設定が、100% Dryになっていないことを確認してください。
再生すると、ノイズ・ガタつき・抜け落ちのお祭り騒ぎになります。
この現象は、プロジェクトをあまりにも小さなレイテンシーで再生しようとしているということを意味している恐れがあります。
リバーブのようなCPUを食うエフェクトを使うほど、こういうことが起こりやすくなります。
以下の対処法を1つ以上試してください。
  • 自分のミックスについて、もっとCPU使用量の少ないプラグインを使うように作り直せるかどうか検討してください。
    例えば、複数のトラックで使われているエフェクトを共有するようなエフェクトバスの積極的利用などです。
  • サンプリングレートに88200や176400などの大きな値を使用している場合、もっと低い値にしてみましょう。
    「ファイル (F)」→「プロジェクト設定 (P)...」から、サンプリングレートを44100に下げてください。
    こうすることでCPUの読み込みが減り、聴覚上の音質がどんなに違っても死にはしないということがわかるはずです。
  • バッファサイズの増強を検討してください。
    レイテンシーは増えますが、プレイバックの点においては問題にならないはずです。
    「オプション (O)」→「設定 (P)...」→「オーディオ」→「デバイス」で「ASIO 設定...」をクリックし、サウンドカードの制御ソフトを呼び出して、バッファサイズをなんか1280とかまで増やしてください。
  • オーディオバッファリング設定」、特に「エフェクト処理/マルチプロセッシング設定」を確認してください。
    先読みレンダリングサイズ」や関連オプションをガンガンいじってみましょう。
再生すると、各トラックの音量は極めて低いはずなのに、マスターが赤色ゾーンに達してクリップ・歪みが起きます。
ルーティングに問題がある場合にこのようなことが起こり得ます。
例えば、何らかのトラックが複数の経路で同時にマスターへの出力を行うようルーティングされている場合などです。
  • ルーティングマトリックスを確認してください。
再生すると、画面で見る限りでは何もクリップしていないはずなのに、音声がクリップして聞こえます。
ルーティングに問題がある場合や、何かしらのエフェクト(単体でも、組み合わせでも)が音声を歪ませている場合に、このようなことが起こり得ます。
  • ルーティングマトリックスを開いて、マスターと同じオーディオハードウェア出力に直接ルーティングされているトラックがないかどうか確認してください。
    それが原因ではない場合……
  • 全てのエフェクトを無効にして、問題が解決するか観察してください。
    解決するようであれば、改めてエフェクトを順番に有効にしていき、問題のエフェクトを特定してください。
インポートしたMIDIトラックを再生しようとしても、何も聞こえません。
ルーティングやサウンドカードやセットアップの問題かもしれません。それについては、上記の他のトラブルシューティングを参照してください。
また、MIDI特有の問題ということも考えられます。有効なMIDI出力デバイスやソフトシンセが、トラックに割り当てられていないことで起こるものです。
  • MIDIハードウェアデバイスをお使いの場合、トラックのルーティングウインドウを開き、ルーティングがMIDIハードウェアデバイスに割り当てられているか確認してください。
  • MIDIハードウェアデバイスをお使いでない場合、トラックのエフェクトウインドウを開き、そこにお好きなソフトシンセを挿してください(主にはVSTiかDXiです)。
音声を録音しようとしても、何も録音されません。
このような問題は、REAPERの設定や、お使いのハードウェアの設定に由来することがあります。
  • トラックが録音待機状態になっているか確認してください。
  • トラックに入力が割り当てられているか確認してください。
  • 「オプション (O)」→「設定 (P)...」→「オーディオ」→「デバイス」で、オーディオ入力一覧の範囲が指定され、なおかつ有効になっているか確認してください。
  • 「オプション (O)」メニューで、目的の録音モードを正しく選んでいるか確認してください(だいたいは「通常」でいいはずです)。
  • 録音入力が有効になっていることを確認してください。
    あるいは、録音出力を選択している場合、トラックの出力を無音にするようなエフェクトがないことをエフェクトウインドウから確認してください。
  • 録音のための音声マイクや楽器配線が、正しいオーディオ入力に接続されているか確認してください。
  • 音声マイクにファンタム電源が必要な場合、ファンタム電源が有効になっているか確認してください。
  • オーディオ入力ミキサー(外付け機材ミキサー、サウンドカードのミキサー、またはその両方)において、入力信号が正しくルーティングされていることを確認してください。
  • オーディオ入力ミキサー(外付け機材ミキサー、サウンドカードのミキサー、またはその両方)において、入力信号がミュートされていないことを確認してください。
使っているCPUが貧弱すぎて自分のプロジェクトを再生できません。
これは十中八九、お使いのDAWの処理能力を超える数のエフェクトを使おうとしているせいです。
  • パフォーマンスメーターを開いて、一番CPUを食うエフェクトがどのトラックにいるのか特定してください。
    その後、該当トラックのメディアアイテムを右クリックして、「トラックやテイクのエフェクトを適用して新規テイクを作成 (F)」または「トラックやテイクのエフェクトを適用して新規テイクを作成 (モノラル) (N)」を選択しましょう。

2. REAPERのインターフェースの問題

症状 分析、予想される解決法
スペースキーを押しても(あるいは他の何かしらの再生コントローラー操作をしても)何も起きません。
これは、ウインドウのフォーカスがREAPER本体以外のウインドウに奪われている時に起こります。例えばルーティングマトリックスや、「開く」のダイアログボックスなどです。
以下の2通りの解決策が考えられます。
  • キーを押す前に、トラックビューやミキサーなどの他のビューにフォーカスを移してください。
    または……
  • BCR2000などの外付けMIDIコントロールデバイスを利用し、デバイスの汎用ボタンに再生コントローラーの機能を割り当ててください。
    こうすると、ウインドウのフォーカス対象やダイアログボックスの開閉に影響されずに再生コントロールが機能します。
編集カーソルを狙った場所に置こうとしても、ほんの少ししか動いてくれません。
スナップが有効になっていると思われます。
その場合、「オプション (O)」→「スナップ/グリッド (S)」→「スナップを使用 (S)」を無効にしてください。
時間選択をしようとしても、始点や終点が狙った場所からズレてしまいます。
スナップが有効になっていると思われます。
その場合、「オプション (O)」→「スナップ/グリッド (S)」→「スナップを使用 (S)」を無効にしてください。
トラックにボリュームやパンのエンベロープを追加したのですが、再生してもフェーダーが動きません。
オートメーションモードがReadになっているか、エンベロープが録音待機になっているかを確認してください。
1つのトラックに複数のテイクを録音したのですが、最後の1つしか表示されません。
  • トラックの全てのテイクを表示するには、「オプション (O)」→「全てのテイクを多段表示する (表示しきれる場合) (W)」を選択してください。
    または……
  • 最後以外のテイクを表示するには、メディアアイテムを右クリック→「テイク (A)」コマンドを選択してください。
トラックを最大化すると、別のトラックが表示されてしまいます。
「オプション (O)」→「設定 (P)...」→「編集動作」から、垂直ズーム動作の設定を確認してください。
基本的には「最後に選択したトラック」とするのが良いはずです。
水平方向のズームをすると、編集カーソルが画面から消え失せて迷子になります。
「オプション (O)」→「設定 (P)...」→「編集動作」から、水平ズーム動作の設定を確認してください。
基本的には「編集カーソルか再生カーソル (デフォルト)」とするのが良いはずです。
「時間表示 (I)」や「パフォーマンスメーター (F)」などのウインドウを表示しようとしても、画面上にそれが見当たりません。
これはちょっとややこしい話で、お使いのWindowsで画面設定を変更した際に時々起こることがあります。
主には2通りの解決方法があります。
  • この方法は、操作内容についての理解に自信がある場合にのみ試してください。
    例えば時間表示が行方不明になっている場合、reaper.iniファイルから該当セクションだけを削除し、上書き保存して閉じ、REAPERを再起動させてください。
    以下に抜粋されているようなreaper.iniファイルの記述において、下線部が時間表示のセクションです。
    • [flac encoder defaults]
      default_size=12
      default=63616C661000000005000000AB
      [bigclock]
      wnd_vis=1
      wnd_left=967
      wnd_top=600
      wnd_width=426
      wnd_height=137
      time_mode=0
      [namecache]
      Analog_In_1_Delta_1010__1_=In 1
  • より安全な方法は、このファイルの名前を単にreaper.oldか何かに変更することです。
    こうすることで、次回のREAPER起動時に全ての環境設定やオプションがデフォルト状態に戻されます。
アンドゥ履歴ウインドウが、アイテムやトラックを選択し直すたびにとっ散らかっていきます。
「オプション (O)」→「設定 (P)...」→「一般」から、アイテムやトラックの選択によるアンドゥポイント作成を無効にしてください。

3. 録音モードとモニタリングのトラブルシューティング

REAPERにおいて、「オプション (O)」メニューから選択できる録音モードや、
トラックの録音ボタンの右クリックメニューから選択できるモニタリングオプションは、
両者を組み合わせて同時に利用することで様々な異なる結果を得ることができますが、
慣れないうちは理解しづらいところだと思います。
以下にその早見表を掲載します。情報提供をしてくださったJohn Bercik氏に感謝を示します。
録音モード モニタリングオプション 動作
入力を
モニタリング
(I)
録音時に
トラック内の
メディアを
モニタリング
(K)
停止時 再生時 録音時
通常 (N) ON OFF ライブ音のみモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング ライブ音のみモニタリング
自動 OFF ライブ音をモニタリング プロジェクト音のみモニタリング プロジェクト音とライブ音をモニタリング
ON ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング パンチ外ではプロジェクト音とライブ音をモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
自動 ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音をモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
プロジェクト音をモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
時間選択範囲でオートパンチ (H) ON OFF ライブ音をモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング パンチ外ではプロジェクト音とライブ音をモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
自動 OFF ライブ音をモニタリング プロジェクト音のみモニタリング パンチ外ではプロジェクト音のみモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
ON ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング パンチ内外共にプロジェクト音とライブ音をモニタリング
自動 ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音のみモニタリング パンチ外ではプロジェクト音をモニタリング
パンチ内ではプロジェクト音とライブ音をモニタリング
選択アイテムの範囲でオートパンチ (I) ON OFF ライブ音をモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング パンチ外ではプロジェクト音とライブ音をモニタリング
選択アイテム範囲ではライブ音を録音・モニタリング
自動 OFF ライブ音をモニタリング プロジェクト音のみモニタリング パンチ外ではプロジェクト音のみモニタリング
選択アイテム範囲ではライブ音を録音・モニタリング
ON ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音とライブ音を不断にモニタリング パンチ外ではプロジェクト音とライブ音をモニタリング
選択アイテム範囲ではライブ音を録音・モニタリング
自動 ON ライブ音をモニタリング プロジェクト音のみモニタリング
パンチ内ではライブ音のみモニタリング
プロジェクトの選択アイテムをモニタリング
選択アイテム範囲ではライブ音を録音・モニタリング

4. この日本語訳記事について

頭にうだうだ書いても邪魔だと思うので最後に書いています。

この記事は、REAPERマニュアルの第24章 "Troubleshooting REAPER" の1~3節を日本語訳したものです。
「REAPER User Guide」v5.50の内容と、私が作っている「製品版REAPER日本語化パッチ(森)」ver 5.22.002の表示に準拠しています。

原文で斜体表示による強調をしている部分は、本稿では下線表示としています。
「3. 録音モードとモニタリングのトラブルシューティング」の表構成は、独断で再編集しています。

本稿の誤訳や誤情報について、訳者は何ら責任を負いませんが、
マウスオーバーで元の英文が表示されるかもしれないので参考にするのもいいでしょう。

  • 書いた人:森の子リスのミーコの大冒険
  • 書いた人のWebサイト:http://phroneris.com
  • 書いた履歴:
    2017年10月22日 v5.50.001
    初版